理事長

進藤 榮一(しんどう えいいち)

グローバル情報革命の進展下で「パクス・アメリカーナ」が終焉し、「アジア力の世紀」が登場しています。生産と通商と市民交流のネットワーク化が進展し、日中韓やASEAN、インドを中心に、デファクトの東アジア地域統合への動きが胎動し続けています。明治開国以来の「脱亜入欧」から「連欧連亜」へと、いま「この国のかたち」の変容と転換が求められています。

私たちは、国際アジア共同体学会(ISAC)を母体に、学会有志の協力を得て、その旺盛な活力と高度な知的ネットワークを基盤に、以下の三つの目的を使命として一般社団法人アジア連合大学院機構(GAIA機構)を発足させました。第一に、共生と地域統合推進の独立系シンクタンクとして機能する。第二に、アジアの指導的人材を育成し啓蒙教育活動を推進する。第三に、共同研究成果を広く社会に還元し、域内外の研究教育機関との連携を進める。

いま求められているのは、覇権国主導のグローバリズムの共通リスクに対して、アジアが、脅威と危機を造出させるのではなく、共生と協働の仕組みをつくり上げることです。格差と体制の違いを乗越える動きをバネに、環境やエネルギー、食料などを軸に地域協力の制度化を進めることです。それが、アジア不戦共同体への道につながります。

GAIA機構が、そのための“アジア連合高等研究機関”としての役割を果たすことを誓い、四海の支援と協力を求める所以です。


1939年8月6日、北海道帯広市に生まれる。帯広柏葉高等学校を経て、1963年京都大学法学部卒業。1965年同法学研究科修士課程、1968年同博士課程修了、1976年法学博士。現在、筑波大学大学院名誉教授、国際アジア共同体学会会長、一般社団法人アジア連合大学院機構理事長、東アジア共同体評議会副議長。専門はアメリカ外交、国際政治経済学、アジア地域統合、国際公共政策。

●略歴
1969年 ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)フルブライト留学(-70年)
1970年 プリンストン大学歴史学部客員研究員(-71年)
1971年 鹿児島大学法文学部助教授(-74年)
1975年 筑波大学社会科学系助教授(-90年)
1976年 プリンストン大学フォード財団フェロー(-77年)
1977年 ハーバード大学ウォレン・アメリカ史研究所フェロー(-78年)
1985年 日本平和学会副会長(-87年)
1987年 ハーバード大学アメリカ史研究所フェロー
1988年 オースティン大学客員教授
1990年 筑波大学社会科学系教授(-03年)
1991年 メキシコ大学院大学国際交流基金招請教授
1993年 サイモン・フレイザー大学客員教授
1996年 ウッドロー・ウィルソン国際学術センターシニア・フェロー、日本公共政策学会副会長(-00年)、21世紀政策構想フォーラム理事長(04年)
1998年 筑波大学社会科学系長(-99年)
1999年 コペンハーゲン大学客員研究員
2000年 ウィルソン国際学術センター上級フェロー
2001年 オックスフォード大学研究員(安倍フェロー)
2002年 香港中文大学客員教授、延世大学訪問研究員
2003年 江戸川大学社会学部教授(-08年)
アメリカ平和研究所上級研究員
2006年 社会福祉法人慈陽会理事長、国際アジア共同体学会設立代表
2007年 東アジア共同体評議会副議長
2008年 早稻田大学アジア研究機構客員教授、日本新技術促進機構会長
2008年 一般財団法人アジア平和貢献センター評議員
2010年 筑波大学寄付講座「人間安全保障」プログラム顧問(~13年)
2011年 アジア連合大学院設立準備委員会委員長
2012年 筑波大学ワンアジア財団寄付講座「東アジア共同体」顧問(~14年)、国際アジア共同体学会会長
2013年 東久邇宮記念国際文化褒賞受賞 国連NGO/DEVNET東京・理事
2014年 一般社団法人アジア連合大学機構理事長


●著書(単著)
『現代アメリカ外交序説―ウッドロー・ウィルソンと国際秩序』(創文社, 1974年)[吉田茂賞、1975年]
『現代紛争の構造』(岩波書店, 1987年)
『非極の世界像』(筑摩書房, 1988年)
『現代の軍拡構造』(岩波書店, 1988年)
『地殻変動の世界像』(時事通信社, 1990年)
『ポスト・ペレストロイカの世界像―「帝国」はなぜ崩壊したのか』(筑摩書房, 1992年)
『アメリカ 黄昏の帝国』(岩波書店[岩波新書], 1994年、台湾語版,1998年)
『敗戦の逆説』(筑摩書房[ちくま新書], 1999年)
『戦後の原像』(岩波書店, 1999年、韓国語版,2003年)
『現代国際関係学―歴史・思想・理論』(有斐閣, 2001年)
『分割された領土―もうひとつの戦後史』(岩波書店[岩波現代文庫], 2002年)
『脱グロ-バリズムの世界像―同時代史を読み解く』(日本経済評論社, 2003年)
『東アジア共同体をどうつくるか』(筑摩書房[ちくま新書], 2007年)
『国際公共政策―新しい社会へ』(日本経済評論社、2011年)
『アジア力の世紀―どう生き抜くか』(岩波新書、2013年)
『アメリカ帝国の終焉―勃興するアジアと多極化世界』(講談社新書、2017年)

●著書(編著)
『平和戦略の構図』(日本評論社, 1986年)
『ポスト冷戦とアジア太平洋の平和』(岩波書店[岩波ブックレット], 1992年)
『アジア経済危機を読み解く―雁は飛んでいるか』(日本経済評論社, 1999年)
『公共政策への招待』(日本経済評論社, 2003年)

●著書(共編著)
(下斗米伸夫)『ユーラシア激動』(社会評論社, 1992年)
(山口定・宝田善・住沢博紀)『市民自立の政治戦略』(朝日新聞社, 1992年)
(吉田康彦)『動き出した朝鮮半島―南北統―と日本の選択』(日本評論社, 2000年)
(平川均)『東アジア共同体を設計する』(日本経済評論社, 2006年)
(豊田隆・鈴木宣弘)『農が拓く東アジア共同体』(日本経済評論社, 2007年)
(水戸考道)『戦後日本政治と平和外交―21世紀アジア共生時代の視座』(法律文化社, 2007年)
(中川十郎)『東アジア共同体と日本の戦略』(桜美林大学北東アジア総合研究所, 2011年)
(鳩山友紀夫・高野孟・中島正希・島袋純)『なぜ、いま東アジア共同体なのか』(花伝社、2015年)
(木村朗)『沖縄自立と東アジア共同体』(花伝社、2016年)
(朽木昭文・松下和夫)『東アジア連携の道をひらく―脱炭素社会・エネルギー・食料』(花伝社、2017年)
(木村朗)『中国・北朝鮮脅威論を超えて』(耕文社、2017年)

●訳書
ルイス・フィッシャー(猪木正道共訳)『レーニン(上・下)』(筑摩書房, 1967年)
フィーラー『政治的時代―革命的世界とその構造』(ブリタニカ,1968年 )
メイ『歴史の教訓―戦後アメリカ外交分析』(中央公論社, 1977年/岩波書店[岩波現代文庫], 2004年)
ベイツ『国際秩序と正義』(岩波書店, 1989年)
ティックナー『国際関係論とジェンダー-安全保障のフェミニズムの見方』(岩波書店, 2005年)
ギル『巨龍中国の新外交戦略』(柏書房、2015年)

編纂(共纂)/編集
(下河辺元春)『芦田均日記』全7巻(岩波書店, 1986年)『国際公共政策叢書』全10巻(日本経済評論社, 2003年(~2012年)

TOP